PRINCESS TUTU MUSIC 1   プリンセスチュチュ音楽1


アニメの中で流れている音楽のことを知れば「プリンセスチュチュ」がもっと面白くなること間違いなし!(「チュチュ」の内容に関してはネタバレありです)
前置き無しに加筆・修正する場合があります。

くるみ割り人形
序曲「コリオラン」
シェエラザード
ルスランとリュドミラ
ジークフリート牧歌
ローエングリン
幻想序曲ロメオとジュリエット

バレエ組曲「くるみ割り人形」
/チャイコフスキー作曲

お話
ホフマンの物語をデュマが脚色したものが原作。
クリスマスイブ、クララ(マーシャ)はドロッセルマイヤー(!)おじさんからくるみ割り人形をプレゼントされる。その夜、くるみ割り人形がネズミと戦うのを助けたクララは、王子に変身したくるみ割り人形に、お菓子の国へと導かれる。お菓子の国でクララは大歓迎されるが、実はこれは夢だったというお話。


音楽
小さな序曲
あひるのテーマ。普通の序曲は長くてにぎやかなものが多いですが、この曲は低音楽器を省いてかわいらしく幻想的な雰囲気を出しています。小刻みに動くフルートやクラリネットにも注目。
アニメの中ではほとんど(和田薫氏による)編曲されて流れます(「不思議な金冠町」「あひるのコミカル」「一日の始まり」など)。なので、本来のこの曲が流れるのは2.AKTの冒頭と最終話のラストぐらいです。最後にこの曲が流れるのは、「お話はまだ始まったばかり」だからだそうです。

行進曲
ドロッセルマイヤーのテーマ。トランペットとホルンとクラリネットのファンファーレから始まる、これまた軽快な行進曲です。CMでもよく使われるのでかなり有名。
本来の曲が使われるのはドロッセルマイヤーがくるくる回るアイキャッチだけ。あとは、短調で重々しく編曲されたもの(「ドロッセルマイヤーの影」)がドロさんとともに流れます。かなり怪しいので、もとの曲が何なのかなかなかわかりません。

金平糖の踊り
みゅうとのテーマ。澄んだ音色でメローディーを奏でている楽器はチェレスタといいます。チャイコフスキーはパリの楽器店でこの楽器に一目惚れし、制作中のくるみ割り人形の第二幕から使うことにしました。合いの手を入れるようなクラリネットとバスクラリネットもおいしい!
みゅうとがバレエを練習するときに流れます。12.AKTでは猫先生この曲で日曜練習しちゃいます。ほんとは女性が踊る曲だったりして。

トレパーク(ロシア舞曲)
「プリンセスチュチュ」では使われません。CMやGB版テトリスでおなじみの曲。
アラビアの踊り(コーヒーの踊り)
弦楽器がエキゾチックで切ないメロディーを奏でます。
10.AKTでチュチュがカロンさんと踊る時に流れました。カロンさんの切ない表情がなんとも(笑ってしまう)。

中国の踊り(お茶の踊り)
「チュチュ」では使われませんが、クラリネットが下でうにょうにょしているのを聴いて下さい。
芦笛の踊り
これもCMなどでおなじみの曲。フルートがかわいらしいメロディーを奏でます。
2.AKTであひるが見習いクラス落ちを宣告されるときに流れました。また、最初から最後まで衝撃を受けっぱなしの21.AKTでは、冒頭のあひるの夢(それはそれは楽しそうに踊るみゅうと、ふぁきあ、るう)に使われました。

花のワルツ
弦楽器の流れるようなメロディーとこれにかわいらしく木管楽器が合いの手を入れるこの曲も有名です。OPテーマの間奏としても使われてます。
1.AKTであひるが初めてチュチュに変身しみゅうとを助ける場面、14.AKTで同じくチュチュがみゅうとを助ける場面(1.AKTを連想するように作ってあるのが心憎いよ!)、22.AKTであひるがみゅうとを助ける決心をする場面、そして最終話で流れます。例のプロモーション映像でも流れてます。最終話では後半、曲の冒頭からラストまで一気に流れ、クライッマクスに向かって話を盛り上げていきます。以前はこの曲を聴くと得体の知れないモノを振りまきながら宇宙に飛び出していく冷蔵庫を思い出して可笑しかったんですが、今では聴くだけで泣けます。ラスト、心の中で「るうー!!!」と叫んでます。

序曲「コリオラン」/ベートーベン作曲
お話
戯曲「コリオラン」の序曲。
紀元前5世紀の古代ローマ。ローマの英雄コリオラヌスは国から不当に追放されたため、やがて敵軍の将としてローマに攻め込む。ローマの城壁で妻や母親の説得によって改心し兵を退くことを決意したが、敵軍の放った刺客によって命を落としてしまう、という悲劇。


音楽
ふぁきあのテーマ。第一主題は弦や金管のメロディーが上行下行を繰り返しながら発展していくもので、コリオラヌスの高慢で熱情的な性格を表しています。とてもベートーベンな感じです。一方第二主題は弦や木管の優しいメロディーでコリオラヌスの妻や母を表しています。
ふぁきあが怒ったり踊ったり戦ったりガン飛ばしたりするときに流れます。この曲でその時のふぁきあのテンションが計れてしまいます。前半卵の章ではしょっちゅう流れていたこの曲ですが、後半雛の章になってからはふぁきあが亡霊騎士と戦う場面とドロッセルマイヤーに操られてあひるの物語を書いてしまう場面で流れるだけです。ここらへんが卵と雛でのふぁきあの変化を表してるんですね〜。また、普段は第一主題だけで、第二主題に入ったとたんフェードアウトしてしまうんですが、卵最終話の13.AKTでふぁきあが沈む場面では第二主題の変奏まで流れます。これもふぁきあの心境に関係あるのかなあ、と詮索してしまいます。と思ってよく見たら丁度チュチュがふぁきあのために泣くところだったのか。


聴くヒント
私が聴いたコリオランはこんなのです。
・ショルティ指揮/シカゴ交響楽団(8分弱)
・ライナー指揮/シカゴ交響楽団(7分弱)
・バーンスタイン指揮/?(9分弱)
「チュチュ」で流れているのと同じ位のテンポだと8分位になるみたいで、私もこれぐらいのテンポがちょうどいいと思います。でもちょっとローテンポでいらいらもしますが、他の点ではバーンスタインのが私の好みです。

交響組曲「シェエラザード」
/リムスキー=コルサコフ

お話
バレエ版の違うストーリーもあるようですが、もともとのお話はアラビアンナイトから来ています。しかしリムスキー=コルサコフ自身はその関連性を否定しているとか。4曲それぞれに付いているストーリーもアラビアンナイトとは関係ありません。アラビアンナイトの物語はこんな感じです。
トルコのシャハリアール王は、王妃の浮気をきっかけに女性不信となり、毎晩新しい后を迎えては翌朝に殺してしまうようになった。国の娘がほとんどいなくなったとき、大臣の娘シェエラザードが自ら后を買って出、毎晩王に面白い話を聞かせ始めた。話の続きが気になる王はついついシェエラザードを殺すのを先延ばしにしてしまい、気が付いたときには何年も経ち子供も生まれていたので、改心しシェエラザードを正式に王妃として迎え入れた。


音楽
どの曲にも共通して登場するバイオリンソロはシェエラザードを、トロンボーンや低音楽器の力強いメロディーはシャハリアール王を表しています。
第一曲「海とシンドバッドの船」
まずシャハリアール王の主題、続いてシェエラザードの主題が流れます。弦楽器の厳しく流れるようなメロディーはあたかも航海の様子を描写しているようです。
チュチュでは12.AKT冒頭のチュチュとふぁきあの会話からクレールがみゅうとに話しかけているところまで流れます。この回はシェエラザードがたくさん流れますし、第一曲という事もあって冒頭に来たんでしょうか。

第二曲「カランダール王子の物語」
来ました! 私的ふぁきあとあひるのテーマ。
まずシェエラザードの主題が演奏された後、カランダール王子の主題がファゴットソロで演奏され、オーボエソロや弦楽器へと引き継がれていきます。中間部はトランペットとトロンボーンのファンファーレです。クラリネットによるカランダール王子の主題も挟まれます。後半は弦楽器たちのカランダール王子の主題をモチーフにしたメロディーが印象的です。フルートや打楽器もとても効果的です。
いわゆるふぁきあ×あひるファンの伝説の12.AKT、ふぁきあがあひるを助けようと必死な23.AKT冒頭、ふぁきあがあひるをお姫様だっこな24.AKT冒頭なんかで流れます。特に12.AKTではタイトル曲にもなっているので、クレールが正体を明かす場面で後半部が、あひるとふぁきあが隠し扉の奥に進む場面で冒頭部が、クライマックスでまた後半部が流れます。さすがにあひるによってふぁきあの心境に変化が出てくる・・・というのをシェエラザードや王様につなげてる、なんてのは穿ちすぎでしょうが・・・。とにかく私の大好きな曲です。

第三曲「若い王子と王女の物語」
この曲はバイオリンのとってもきれいな三拍子のメロディーから始まり、このメロディーが色んな楽器に受け継がれていきます。スネアドラムの伴奏が入ると動きが出てきてさらにかわいらしくなります。
まず14.AKTで猫先生がニャジンスキーとの思い出を語る場面で流れます。若い王子ならぬ若い猫先生です。そして時間も短く音量も小さいので聞き逃しがちですが、最終話ドロッセルマイヤーのからくりを壊す場面でも流れています。素敵(なはず)な物語へと新しい出発をするみゅうととるうちゃんはまさに若い王子と王女。

第四曲「バグダッドの祭。海。船は青銅の騎士のある岩で難破。終曲」
まずシャハリアール王とシェエラザードの主題が少し形を変えて流れます。この曲には前の3曲のメロディーが色んな所に現れるという心憎い演出がされています。最後にもう一度シェエラザードの主題が演奏され、静かに幕を閉じます。
23.AKT冒頭のチュチュが囚われてしまう場面で流れるシェエラザードの主題が、単音ではないのでこの曲のものではないかと思います。

歌劇「ルスランとリュドミラ」/グリンカ作曲
お話
古代ロシア。悪魔にさらわれてしまったキエフ公国の公女リュドミラを助けるために三人の男達が向かう。結局相思相愛だった若者ルスランがリュドミラを救い、二人は結ばれる。

音楽
序曲
この歌劇では序曲だけが特に有名です。テンポの速い曲で、総奏によって華々しく始まります。まず弦楽器も木管楽器も忙しく疾走するような第一主題が流れ、次に大らかな(でもテンポは速い)第二主題が流れます。再び第一主題に戻り、華やかなコーダ(テンポが急に落ちます)で終わります。
バカップルのテーマその1。23.AKTのタイトル曲で、後半のチュチュやふぁきあがみゅうとの事を考えつつシンクロしていって、最後にふぁきあがチュチュを助け出しておまけに抱きしめちゃうという場面で一気に流れます。チュチュがドロッセルマイヤーの世界から出てきてふぁきあの手を取るところで丁度コーダ(「チュチュ」では特にテンポを落として雰囲気出してる?)が流れていい感じなのです。DVDの解説書にも、歌劇のお話が23.AKTのお話と合っていると書いてありました。「相思相愛」じゃなくて片思いってとこが激しく違うけど(笑)。

ジークフリート牧歌/R.ワーグナー作曲
エピソード
この曲はワーグナーが愛妻コジマ(作曲家リストの娘)の誕生日に送った曲です。「ジークフリート」というのはその前年に生まれた長男の名前で、五十歳をすぎていたワーグナーはその誕生をとても喜んだそうです。ワーグナーは妻の誕生日のために作曲したこの曲を密かに練習し、当日の朝、妻の部屋に通じる階段に楽員達を並べて演奏しました。コジマの日記によれば、その数日前から夫の不振な外出があったり、弟子が急にトランペットを練習し出したりと、その気配はあったようです。

音楽
王子としてのみゅうとのテーマ。「ニーベルングの指輪」や「ローエングリン」などで力強く勇ましい曲が有名なワーグナーですが、これは珍しく静かで情緒的な曲です。ワーグナー嫌いのうちの母親に聴かせたいもんです。木管や弦楽器、ホルン中心のわりと小編成の曲なので、身内感が出ていていい感じです。20分近い演奏中ほとんどが静かなメロディーですが、中間部や終盤では盛り上がります。この曲の中にはコジマの好きな民謡や子守歌のメロディーも含まれているそうです。
「チュチュ」では5.AKTで初めてみゅうとが自分からあひるを踊りに誘う場面や卵の章最終話(13.AKT)でチュチュが決意を固める場面、25.AKTで(カラス人間から)人間の姿に戻ったみゅうとがるうちゃんをプリンセスとして迎える決意をしチュチュに最後の心のかけら(変身ペンダント)をくれという場面、同じくチュチュが最後のかけらをふぁきあとハモりつつみゅうとに返す場面などで流れます。13.AKTの時は、途中で曲が「白鳥の湖」の情景につながるんですが、このつなぎ方が絶妙で、まるでもともとそういう曲だったかのようです。ジークフリートというのがみゅうとの本名だったわけですが、全ての心を取り戻したみゅうとが大ガラスに立ち向かっていくところなどを見ていると、「金平糖の踊り」とこの曲の二通り用意したのはとても効果的だと感じました。

歌劇「ローエングリン」/R.ワーグナー作曲
お話
聖杯に奉仕する騎士ローエングリンが、領主である弟を殺した罪に問われていたエルザの疑いを晴らすが、彼の素性を質してはいけないという約束をエルザが破ってしまったために、自分の素性を明かし白鳥の引く小舟に乗って帰っていってしまう。

音楽
第三幕への前奏曲
第三幕は結婚式でも有名な「婚礼の合唱」で、この前奏曲はローエングリンとエルザの結婚式の華やかな気分を表しています。「ジークフリート牧歌」とは違ってワーグナーらしい華やかな演奏から始まり、金管楽器の力強い演奏が加わります。中間部では優しいメロディーが流れ、後半再び始めの勇ましい演奏で終わります。
卵の章最終話でふぁきあが一人でたくさんのカラス人間(?)と戦う場面で前半部が流れます。「チュチュ」で剣振り回したりするのは彼だけなのでかなり気合いが感じられますが、公式ガイドブックにまで「王子を凌ぐほどの凛々しい活躍」と書かれては王子も立つ瀬がないです。「チュチュ」ではこの後ふぁきあが罠にはまって「コリオラン」に移ります。多分関係ないとは思いますが、この「白鳥の引く小舟」って雛の章最終話でみゅうととるうちゃんが乗っていったものでしょうか?  だとすればあの変な乗り物の説明がつきますが(笑)。そういえばふぁきあの持っていた騎士の剣も「ローエングリンの剣」でした。


聴くヒント
私が聴いたのはカラヤン指揮ベルリンフィルでしたが、演奏した年によって全然速さが違いました。「チュチュ」と同じくらいなら3分半弱あたりだと思います。3分を切るとちょっと速すぎだと感じました。

幻想序曲ロメオとジュリエット
/チャイコフスキー作曲

お話
あまりにも有名なシェイクスピアの戯曲。モンタギュー家のロメオと、対立するキャピュレット家のジュリエットが仮面舞踏会で出会い恋に落ちるが、両家の反対に遭う。意に添わない結婚を押しつけられたジュリエットは仮死状態になる薬を飲んで免れようとするが、彼女が死んでしまったと誤解したロメオは自殺。ジュリエットも後を追って自殺してしまう。
この話を題材にして他にもプロコフィエフやベルリオーズなどたくさんのが作曲しています。プロコフィエフの曲(これがバカップルのテーマその2)もそのうち。


音楽
チャイコフスキーによって何度も補筆訂正が行われており現在のは第三稿にあたります。前半は木管や弦の静かな演奏で、ハープの音が神秘的です。中盤に入って急に盛り上がり、金管と弦、バスドラムが激しく悲愴的に鳴り響きます。木管などの静かな音楽が入った後、後半再び盛り上がって終わります。
8.AKTのタイトル曲。冒頭あひるがみゅうとを探す場面で静かな冒頭部が流れ、後半ふぁきあとみゅうとの場面、ふぁきあが変な仮面つけて剣もって出てきたり、みゅうとが心を砕くのをやめたりする場面で激しい中盤〜後半部が流れます。この後半部、ふぁきあが剣を振りかざす場面で盛り上がり、チュチュが涙を流すところに丁度小休止的なメロディーが来るという構成がすごいです。この他、23〜25.AKTでも流れます。
そういえば6巻やらBOXやら(25.AKTなんてもう)、ふぁきあは何かにつけロミオだ・・・。ほんと誰がヒーローなんだ?